産業廃棄物の収集運搬における積替え保管基準はなぜ必要なのか
産業廃棄物の排出事業者は、自ら排出した産業廃棄物が運搬されるまでの間、生活環境保全上支障のないよう保管する義務があります。
そのため、産業廃棄物を保管することにより、汚水などが生じないようにするなどの保管基準が設けられています。
収集運搬に伴う積替え保管においても、中間処分施設や産廃処分場と同様の保管基準が設けられ、環境汚染の原因をならないよう配慮されております。
産業廃棄物の収集運搬における保管基準
産廃収集運搬における積替え保管基準は下記のとおりです。
- あらかじめ、積み替えを行ったあとの運搬先が定められていること
- 搬入された産業廃棄物の量が、積み替え場所において適切に保管できる量を超えないこと
- 搬入された産業廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること(ex.汚泥から汚水が流れだす前に搬出する)
なお、収集運搬における積替保管数量の上限は次のように定められています。
保管上限=1日当たりの平均搬出量×7
更に、詳細に産業廃棄物と特別産業廃棄物に関して異なる保管基準が決められていますので下記で各々の保管基準についてご説明いたします。
産業廃棄物の保管基準
- 保管場所の周囲に囲いが設けられていること
- 保管する産業廃棄物の荷重が囲いに直接かかる場合は、その荷重に対して構造耐力上安全であること
- 産業廃棄物の保管場所である旨の表示があること
- 保管する産業廃棄物の種類(石綿含有産業廃棄物が含まれる場合は、その旨)の表示があること
- 保管場所の管理者氏名または名称および連絡先の表示があること
- 屋外で容器を用いないで保管する場合は、最大積上げ高さの要件を満たしていること
- 掲示板の大きさは「縦60㎝以上×横60㎝以上」であること
- 保管場所から産業廃棄物の飛散、流出、地下浸透、悪臭発散が生じないような措置を講ずること
- 産業廃棄物の保管に伴って汚水が生じる恐れがある場合、公共施設および地下水の汚染防止のために必要な排水溝、その他の設備を設けるとともに、それらの設備の底面を不浸透性の材料で覆うこと
- 保管場所にねずみが生息したり、蚊、ハエその他の害虫が発生しないようにすること
- 産業廃棄物を容器に入れて屋外で保管する場合、廃棄物が囲いに接しない場合は、囲いの下端から久売50%以下であること
- 廃棄物が囲いに接する場合は、囲いの内側2mは囲いの高さより50㎝の線以下とし、2m以上の内側は勾配50%以下とすること
- 石綿含有廃棄物がその他の廃棄物と混合しないよう仕切りなどを設けること
- 石綿含有産業廃棄物の飛散防止のために、覆い、梱包などの措置を講ずること
特別産業廃棄物の保管基準
特別産業廃棄物の保管基準は、産業廃棄物の保管基準が適用されるほか、以下のような措置を講ずることが義務付けられています。
- 特別産業廃棄物がその他の産業廃棄物と混合しないよう、仕切りなどを設けること。ただし、感染性産業廃棄物と感染性一般廃棄物とが混在する場合で、それ以外のものが混入する恐れがある場合を除く
- 特別管理産業廃棄物である廃油、PCB汚染物またはPCB処理物は、容器に入れて密封するなど、腐食を防止する措置を講ずること
- 特別管理産業廃棄物である廃酸または廃アルカリは、容器に入れて密封するなど、腐食を防止する措置を講ずること
- PCB汚染物またはPCB処理物は、その腐食を防止する措置を講ずること
- 特別管理産業廃棄物は、容器に入れて密封するなど、腐敗を防止する措置を講ずること
まとめ
産業廃棄物収集運搬業許可取得のご依頼を頂くお客様で積替え保管をなさる方は少数です。
しかし、必要に応じて積替え保管をなさる事業者様がいるのも事実です。積替え保管を行う場合、上記のような厳密な管理基準をクリアする必用がありますので注意しましょう。